HOME>>コラム・書評・インタビュー>>書評一覧>>2001/08/10 <メルマガ21>11号掲載分


出版洪水に釣り糸を垂れる
Book-Review


Maya-Kimie Hirooka
Maya Art Collection


 『インターネット「超」活用法2001』

 野口悠紀雄著 講談社
 2001年4月20日発行 269頁 1600円

 野口悠紀雄Online (http://www.noguchi.co.jp/)
 amazon.co.jp紹介ページ



ほんとは、別の原稿を書こうと思っていたのに、「いやいやその前に読みたい本がある」……とばかりに、昨日1日で読んでしまったのが「これ」です。つい、うっかり「野口悠紀雄Online」という著者のサイトを開いてしまったのが運の尽き。「厳選サイト700」というのをブックマークし始めたから、たまりません。ついに、深夜2時過ぎダウン。

朝になって、もう読みたい本も読んだことだし、じゃあ「原稿書こうかな!」と思ったとたん……昨日の野口悠紀雄氏の本を、おさらいしたくなりました。それで、おさらいをかねて、面白かった内容をメモします。

このメモを読んで、著者のサイトを開けば、もう、ほとんど……本を読んだ気分になれます。でも、ほんとうに本を買うと、袋とじ付録:「秘密?のアクセス・ナンバー」をゲットできます。読者の一人一人と著者が、ダイレクトに情報をシェアしあっているという、この「リアリティさ加減」が実にいいのです。気に入りました。

さて、この本には、難しいことはなにも書いてなくて、だけど、ほんとのことが「なるほど〜」と、思わせる説得力で淡々とかいてあります。それが結構役立つ感じなのです。その上、元気のでることも書いてあります。なにしろ、現場サイドからのお話は、分りやすくて、的を射ています。的を射た正確な情報を手に入れることは、今や死活問題ですから。

本書は、大きく分けて2つの部分から構成されています。
前半133頁までが……第一部 インターネットが変える仕事と生活。
本の後半はすべて……第二部 インターネット情報源……には、今すぐ役立つサイトの紹介が、「解説つき:重詰めおせち料理700」という感じで、ぎっしりと要領よく詰めてあります。では、始めます。★印は、まやの相槌、独り言……時どき「パチパチ」。


●著者前書きから:
@ ITに関する論説の多くが抽象的なものにとどまっている理由?……論者の中には、ITを日常的に「使っていない」人が多い。インターネットの必要性を声高に論じている、あるエコノミストに電子メールを出そうとしたところ、その人はメールのアドレスをもっていなかった!……など。 ITというと、「経済の一部のこと」と考えている人が多いが、この影響から逃れられる人は誰もいない。

A パソコンやインターネットを使うのは、義務ではなくて「権利」。「必要だから、やむを得ず我慢して使う」のではなく、「こんな便利なものを使わないのはもったいないから、使う」。「努力して習うものでもない」。それには、インターネットで、自分の趣味に合致したサイトを探し出して見るのが、一番……とか。

B 「明確な目的意識が重要」とは、勉強一般についていえる……が、ITに関してはことに、重要。本書は、この意味での「ガイド」として有効に機能する。

● 第1章 インターネットをどう用いるか?
@ インターネットについては、本書みたいな「使い方」ガイドは必需品……「さまざまな使い方ができるために、使い方が明白でない」というのがインターネットの特徴!「さまざまな使い方ができる」とは、使い方の工夫しだいで、仕事の能率や生活の快適さを飛躍的に向上させることも可能ということ。 

A 本書では、インターネットの使い方のうちWWW……ワールドワイド・ウェブ……を中心に語っている。これは、インターネットに発信されている情報を、ブラウザと呼ばれるソフトを用いて閲覧するもの。ウェブにあるページの集まり、あるいは情報発信の主体を、「サイト」という。これは、「ホームページ」とも呼ばれるが、正確には「ホームページ」とは、最初のページ……トップページ……を指す概念。

B 現在、全世界のウェブページ数は、約30億……個人が全てを見るのは、はや不可能。その上、「がらくた情報」も多い……となると、インターネットの大海を一覧する「見取り図」は不可欠。

C 「その情報がインターネットにあるのか、ないのか?」……これを知るのが重要。「ある」と知っていることは、きわめて重要……加えて、どのサイトで情報を得られるかを知っていれば、情報を手元に置く必要はなくなる。必要な時に、アクセスするだけ。

D 企業が公表したいと考えているデータは、インターネットに発信されていると考えてよい。商品情報や新作の映画情報は豊富……ある種の宣伝だから。電話番号もインターネットで探せる。「まず、インターネットで探してみよう」という、「行動習慣」を身につける。これが、インターネット利用の最も重要なノウハウのひとつ。

E 「どのような情報がないのか」を知るのも重要……インターネットでは、人物情報データの優れたものは少なく、日本には人物情報専門のサイトがない。そんなときは、個人名を検索エンジンで引き、インターネット全体を人物辞典として活用する方法もある。

F インターネットが得意な分野……刻々変わる株価情報情報や、趣味など非常に特殊な分野についての詳細な情報。SF作家アーサー・C・クラークが予言した「超多チャンネルテレビ」に象徴される専門化は、インターネットによって初めて可能になった。

G インターネットが不得意な分野……断片的情報は得やすいが、「それらをどのように位置付け、どのように解釈するか」などの体系的「知識」は得にくい。人類がこれまで蓄積してきた知識の大部分は、いまだ印刷物の中……に「在る」ようです。

H インターネット上の世界共通言語が英語であることは、既定の事実……優れたサイトの多くが英語! ★読みたいサイトが英語なら、もう、読むしかありませ〜ん。

I インターネットで情報を探す手段……検索エンジンとガイドの両方を、使い分ける。そのガイドになるのが著者サイトの「インターネット情報源」。これは、1996年にウェブサイトを立ち上げた時に内外の優れたサイトの「私的リンク集」を公開したもの。有益なサイトを探し当てるのが、いかに大変な作業かを痛感した著者が、自分のために作ったのが始まり。

J 対象の分野についてよく知っていなくては、サイトの評価は出来ない……日本の既存のガイドは、官庁名などの「権威」やネームバリューによってサイトが選ばれている。しかし、「従来の社会における権威」がそのまま残るわけではない。インターネット上では、「比較的新しい主体」がブランドを確立している。

K 「インターネット情報源」でとりあげたサイトは厳選700……少数の優れたものに限定。多過ぎては、不便。著者の個人的かつ主観的「サイト評価」つき。ガイドにおいては重要かつ不可欠……ミシュラン方式採用。

● 第2章 情報を集める
@ 私たちをとりまく情報環境は、短期間のうちに一変したのだ!……インターネットが一般化していなかった1995年頃までの状況は「先史時代」、80年代の状況にいたっては「石器時代」である。

A いまや最大のネックは、人間の情報消化能力……情報収集に要する時間と、読解に要する時間の関係は逆転してしまった。その結果、価値の高い情報をインターネットで探す方法論の重要性が増し、単なる「物識り」の価値は下落した。重要なのは、断片的な情報をもっていることではなく、それらを総合し、解釈できる能力。★当たり前のことだけど、その当たり前が堂々と大手を振って歩ける時代の到来……。

B インターネットは誰でも利用できる……情報収集に関して、大組織に属している有利性が減少。組織に属する人々と個人との間の情報格差は、むしろ縮小中! ★拍手

C インターネットなしでは、研究者として生きてゆけない……統計データの入手/専門誌の論文もウェブから入手/研究者間の連絡に電子メール/海外書籍の購入はネットで迅速/サービス提供者(人材)さえもウェブで探せる! 研究活動の成果を左右するもの……必要な情報を効率的に収集できるか? 文学や歴史学など、一見して技術革新と関係ないように思われる分野でも大きな変化が。これは、ビジネスマンの世界でも、早晩生じる。人との連絡に電話と手紙しか使えなかった時代は、いま思うと悪夢。インターネットは、ブラウジング(「ブラブラ探す」こと)にも使える……コラムのテーマ探しなど。そのための発想支援ソフトが、著者サイトでは無料公開されている。 ★試してみます。

D 紙の新聞は生き残れるか……インテルのグローブ会長曰く「新聞は広告とニュース提供の両面で、インターネットの攻撃にさらされている。適応か死かを決める時間的余裕は、あと3年間しかない」。新聞の発行部数は、多くの国で減少中。インターネットは文字情報や静止画像など、ラジオやテレビよりは、むしろ新聞に近い性質をもったメディアである。この点からも、新聞の将来は楽観視できない。米国ではすでに、新聞が「自動車を前にした馬車」と似た位置にある。★森林資源保護の点から……拍手。

E 新聞を読む最大の理由は、単なる「習慣」……生活のスタイルかもしれないぞ。比較検討の上選ばれているわけじゃない。インターネットは新参者だから、従来続けてきた習慣を変えることになる。にもかかわらず、これだけ普及。これが重要な点。人々の「生活スタイル」が変われば、新聞からウェブへの移行が或る日突然起きる、可能性もある。 新聞の未来像……インターネット時代の新聞の基本的な機能として、情報に関するガイド役(見出しと概要だけ)になり、詳細はウェブを参照することになるかもしれない。

F インターネットは高齢化社会の必需品……自分の趣味に「ぴったりのサイト」を見いだすことができれば、余生を短かすぎると感じ、健康管理にも励みが出る。趣味は人によって千差万別:「趣味関係の情報交換にインターネットは最適」……同好の士を探し当てることができる。数千万単位の人が同じ内容のエンターテイメントを楽しむ「テレビが万能だった過去数十年間の世界」が、インターネットによってこの傾向が逆転する可能性。趣味関連のショッピングは、現在ウェブへと移行中。古本などの探索にぴったり。

G アメリカの映画なら、いまやインターネットでほとんどのことがわかる。その上、情報は無料。この分野の資料は、大学の図書館にはないのだ。これが、インターネット時代になって、根本から変わった。我われは、驚嘆すべき情報収集手段を持つに至った!らしい。

H もう一つの驚くべき事実……引用文の原点を簡単に探し当てられるようになった。専門的知識ゼロでも、全文検索ができる「検索エンジン」を用いて、任意のフレーズを簡単に引き出せる。昔は、この知識だけで専門家としての評価を得ることが出来た…という。

I 最新の生活関連情報が、24時間いつでも得られる……天気予報、時刻表、地図、電話番号など。「知りたい範囲だけを」「詳細に」、「いつまでも」「好きなだけ」眺めていられる。

J 海外旅行のホテル予約……100年の歴史を持つガイドブック『ミシュラン』(ホテルとレストランのガイド)が、最近インターネットでアクセス可能に。数年前まで海外旅行は、「手探り」だった。★そうそう、ある種の「冒険旅行」だったなあ!

● 第3章 eコマースを活用する
@ インターネット利用法の中で重要な位置をしめるのは……オンライン・ショッピング(eコマース)……現在、さまざまなショッピング・サイトが運営されている。

A まず、書籍販売……「世界最大の書店」である「アマゾン・ドット・コム」は、300万点近い書籍やCDをインターネットで販売。従来型書店では、大型店でも20万点ぐらい。2000年11月1日、日本でもオープン……年末までの2ヶ月間に延べ1億2300万人がこのサイトを訪問。日本でも、2000年3月……図書館流通センター(TRC)、日経BP社、アスクル、富士通、日本経済新聞社、電通、NTT―Xの7社による「bk1(ビーケーワン)」がオープン。

B eコマースのもう一つのもの:インターネットによる株取引……米国では700万人がオンラインで株取引、取引件数は1日平均130万など急成長。理由は、手数料の劇的引き下げ効果……伝統的証券会社だと手数料50j、安いオンライン取引社なら8jで済む。24時間営業、リアルタイムの情報提供などのサービスは、大口投資家だけでなく、一般投資家も受けられる。日本でも、1999年10月の手数料完全自由化によってオンライン株取引はただ今、急増中。

C 個人生活を豊かにするeコマース……入手困難だったものや、外国からの購入が簡単になった。これで、海外旅行の時の書籍やCDのまとめ買い不要に。パソコン・メーカーはインターネットで「トラブル・シューティング」の情報を提供……情報を得られるだけでも、大変に大きな効果。

D 日本でも始まった「クリック・アンド・モータル」……米国では、新興ネット販売企業のサイトの伸び悩みに反し、大手小売業者が既存店舗を利用しつつ行うネット販売が急成長。これは、「従来の流通関連サービス」を新しい形で用いるもので、「クリック・アンド・モータル」と呼ばれている(モータルとは倉庫や店舗のこと)。

E ウォールマートは、大手書店や、カタログ販売会社と提携を結び、これらのサイトで購入した商品を全米各地のウォールマート店舗でも受け取れるサービスを実施している。日本では、1999年8月……ソフトバンクが、セブンーイレブン・ジャパン、トーハン、ヤフーなどと共同で、書籍販売の新会社「イー・ショッピング・ブックス(eS Books)を設立している。

F これまでは存在しなかった新しい取引「ダイレクト・モデル」……これは、パソコンの注文生産方式(BTO:Built To Orderとも呼ばれる)のこと。米国のデルコンピュータ社は、インターネットを通じて注文があったときに初めて生産を開始する方式を導入。この方式採用によって急成長し、世界第1位のパソコン・メーカーになった。「ダイレクト・モデル」の利点は……注文生産なので在庫リスクや在庫コストがゼロ、中間業者がないので流通マージンや店舗維持のコストもゼロ。これを価格に反映できる。見込み生産では……新しい技術が開発されると古い製品は値崩れするのに対し、「ダイレクト・モデル」では、常に最新の技術を用いることができる! ★すごいですね〜。いいですねえ。

G 「オークション」(せり)……価格を買い手が参加して決めてゆく仕組み。今までは特殊な商品に限られ、一般の消費者が直接参加できるものではなかった。これに対し、インターネットを使ったオークションでは、ありとあらゆるものが取引されている。米国の代表的なオークションサイト「イーベイ(eBay)」では……取扱い商品500万点、会員2000万人。2000年12月の1ヶ月間に同サイトを訪れたのは、延べ1950万人。日本では……「YAHOO! JAPAN オークション」の年間売上は、三越本店の2割にあたる500億円。オークションは、企業間取引でも用いられている。「リバースオークション」と呼ばれる方式では、購入者(消費者)が注文をオークションに出して、販売者が価格を提示する仕組みで……ホテルの予約や航空券などで急成長している。

H 労働市場の構造を大きく変えるオンラインのジョブマーケット……面接などの手段に頼らざるを得なかった従来型から、インターネットを活用した詳細な情報のやりとりへ。求人する企業側のみならず、求職者サイドからの情報発信の増加など双方向へ。全世界規模でサービスを探せる時代になった。★世界中が、もう「旅人」だらけって、とこかしら……。それも、働きながら、ね。

I eコマースの特徴……☆立地条件が弱まり、どこでも事業可能。☆スピードが重要に。☆小資本、小組織が有利に。価格の透明性が増した……格安航空券など。以前は手探り状態、昨今は数社がインターネットに具体的価格を提示。価格の透明度が増した結果、比較が可能になった。★透きとおっているのって、綺麗です。透明度……か。

J 欲しい人を集めて出版:「オンデマンド出版」……200部程度でも採算が取れるため、この方式はマンガ復刻や豪華本の出版などに最適。この方式の具体的サイトに「たのみこむ」、「空想生活」など。ネットワーク技術の進歩は、消費者が生産者と対等の立場で市場に参加することを可能にした……注文生産方式へのトレンドが強まる。これに応じうる生産者だけが、ネットワーク社会で生き延び、成長する時代。

K 消費者の評価……インターネットを通じる供給者への働きかけは、「評価」を通じても行える。多数の一般消費者によってレストランの採点を行うサイト……これは、市販のレストランガイドより信頼できる。ホテルや病院についてもこの試みが拡がれば、経営にも影響を及ぼしていく。

L ほんとに重要なのは「B to B(Business to Business)」……今まで述べたのはB to C(Business to Consumers:企業から消費者へ)と呼ばれるもの。インターネット用いる経済活動としては、この他に「B to B」:企業と企業の取引がある。具体的には、ウェブを用いる部品や資材の購入、オークション、情報システムの合理化など。これを導入すれば、☆大規模なコスト削減……GE社の照明部門は、インターネットの活用により、人件費を30%削減し、材料コストを20%低下させた。☆米国の場合2000年:B to B の市場規模は3360億ドル、B to C は450億ドルとけた違いである。☆この動きに対応できなければ企業として存在しえなくなる。★ここの部分は、とてもコワイお話しです。

M 「モノ作り」を根本から変える「B to B」……大メーカーが部品調達をインターネットに移行すれば、中小企業といえども、この方式に対応しない限り、部品メーカーとして生き残ることは出来なくなる。IT革命の最も重要な点は、企業の活動内容や企業と企業の関係が、インターネットの活用で大きく変化することであり、それは製造業において最も顕著に現れる。★このあたりが、この本の真骨頂。

N 部品調達の「B to B」……自動車メーカーや鉄鋼メーカーなどが、部品や原材料の購入をインターネット取引に移行しつつある。これは、インターネットを用いる経済活動(eビジネス)に、新しい時代が始まったことを意味する。製造業の大企業が、従来の専用回線からインターネットへ移行させることは、取引をオープンにすることを意味する。

O ロンドン・エコノミスト誌は、この動向を「ついにハリケーンがきた」と……「この動きに対応できなければ、現在の部品メーカーは、部品供給者としての地位を失い、さらには、会社としても存続できないだろう」と、述べている。★まことハリケーンです。

P IT時代の代表企業:シスコ・システムズ社……シスコはインターネット通信で用いる中継機「ルーター」の世界最大のメーカー。実際の生産の7割は外注するが、製品の動作診断プログラムは他社には渡さないし、生産過程もシスコが一括管理する。非常に新しいタイプの製造業。

Q 大企業が部品や資材調達のためにインターネット上にサイバー市場を構築すれば、下請けや系列企業との関係は劇的に変化。固定的関係で結ばれていた企業は、より柔軟で可変的な関係になる。オープンシステムでは、世界中の企業が同じベースで競争を行う。日本はアジア諸国との競争が激烈化する。

R 「B to B」組織内の情報処理が変わる……英語、とりわけ「書く英語」の重要性が増してくる。★私は、本書によって、もういちど、このことの重要性を植え付けられました。

● 第4章 IT革命は可能か?
@ インターネットが経済や社会をどのように変えるか?……とりわけ、日本において IT革命は可能か? ★モンダイは、そこです。

A ITとは何か? 大型コンピュータとは異なるシステム……1970年代までの大型コンピュータによる「集中型情報処理」と、現在のパソコン=インターネットによる「分散型情報処理システム」とは、まったく異質なもの……である。 ITが「革命」であるといわれる基本的な理由は、「70年代までとは異なる情報処理システムが、 ITとして登場した」点にある。★コンピュータと、一言では、くくれないワケが解りました。

B 1980年代に……パソコンという、それ自体で高度の情報処理能力をもつ安価な器械が登場によって、個人単位でのコンピュータ利用が可能になった。パソコンは、「独立して情報処理を行うことができる」という点で端末(それ自体は情報処理能力をもたない)とは、「異質の器械」である。★端末とは、異質の器械:「パソコン」が出現した80年代。

C 90年代中頃以降……インターネットという「低コストの通信ネットワーク」が、一般の利用に解放されたために、パソコンが「全世界的な規模で結合」されるに至った。こうして、それまで政府や大企業に独占されていた高度の情報処理能力を、「個人レベル」で保有できるようになった……これこそ、「 IT型情報処理の本質」。★注目!

D みどりの窓口とインターネット予約の違い……みどりの窓口は大型コンピュータ=専用回線のシステムで、駅の窓口まで出向かないと利用できない。しかも、端末機を操作しているのは窓口の担当者。これに対しホテル予約は、インターネットを介して利用できる IT型のシステム……パソコン操作により家庭やオフィスから直接に利用できる。

E アメリカ型の経済システムに「都合のよい」技術:IT……なぜなら、アメリカの経済は、企業や個人が独立して意思決定を行い、それを「市場」が結合する仕組みになっている。1990年代以降、アメリカ経済の未曾有の活況は、単なる「好景気」ではない。 ITの進展に伴って、経済に革命的な変化が生じている。情報はあらゆる産業で基本的な役割を果たす。それが効率化されれば、あらゆる産業活動が活性化される。★ポイントはここ。

F IT革命は「革命」である……その創造的破壊的:「伝統的なビジネスの行き詰まり」……店舗型の書店や証券会社など。単純労働と中間管理職、卸売業などが消えていく。もし、本格的な IT革命が日本で生じれば、ハリケーンのような破壊効果をもたらす。米国がこの構造変化に対応できるのは、労働市場や企業間関係が流動的。

G 国境を越える投資……日本の金融・証券産業に最終的な打撃を与えるのは、新しい投資手法によって「国境」が消滅してしまう時。現在は、「英語の壁」があるが日本語で利用できるようになれば事態は一変する。

H インターネットを通じて音楽を交換するソフト「ナップスター」の衝撃…… ITはコピーのコストを飛躍的に低下させ、コピー技術はアップ。これが「情報を売る産業」:音楽産業そのものを壊滅させかねない。 IT革命の進行は、有料の情報提供事業を破壊する:物書きも、私立学校も存立が難しくなり、知的労働者が生活の糧を失う危険。200年続いてきた世界最高の百科事典:ブリタニカが1999年秋から、ネット上で誰でも無料で利用できる「公共財」になってしまった。ネットワーク上の合理的な課金システムの確立は、重要な課題……と。★要:考察。

I IT革命が「革命」であるゆえん……変化が革命的であればあるほど、従来の仕組みが徹底して破壊される必要がある。現在米国で進行中の IT革命の本質は、これまで経済活動を担ってきた主役の、劇的な交代の過程である。これまでの延長線上で、みんなが幸せになれるわけではない。★20世紀が「戦争の世紀」ならば、21世紀は「革命」?

J IT革命を妨げるもの:変わっていない経済構造:どこまで旧体制を破壊できるか?……日本では、伝統的な企業が旧来の社会構造を守ろうという側面が目立つ。日本におけるネット書籍販売の総額は、「アマゾン・コム」1社のわずか3%で数年前の5%よりもさらに日米格差は拡大。今求められるのは、新しい活動を阻む制度的要因の除去。

K 規制緩和の必要性……価格規制と新規参入規制の撤廃。再販制度の見直し、不動産仲介業の免許制の見直し、病院の広告制限、旅行業法:対面販売の義務付け、職業紹介業:認可制など規制の見直しが必要。ネット上の「バーチャル・オフィス」に人員雇用ができない理由:「賃金を受けるものは、定期的に出勤して出勤簿に捺印する必要がある」というキマリのせいだと! ★「おやまぁ」……としか言いようがアリマセン。

L ITマインドが必要……ネットワーク時代に日本が生き残るためには、意識の大転換が必要。首都機能の移転:物理的所在地にこだわるのは時代遅れ。万博:19世紀的。ネットワーク企業で必要なのは、サービス提供者と利用者が、通信回線で結びついていることである。

M IT革命の始まり……我われを待ち構えるのは、無限の可能性を秘めた新しい社会である。これまでの社会は、ここで終る。目の前に広がるのは、別の世界なのである。★著者は、さりげなく締めくくっています:「これまでの社会は、ここで終わる」……と。


さて、要約はこれで終りました。この作業のおかげで、いったい全体、いま何が起きているのか、以前より格段によく解ってきました。そして、それが紛れもなく「革命」だということも。革命であるからには……などなど。

この「 IT革命」の後にくるものは何なのか? この「 IT革命」というのは、私たち21世紀の人類に向けて、どういうことの始まりを予告するものなのか? これらについては、いずれかの機会を捉えて、あらためて考察を試みてみたいと考えています。


<メルマガ21>第11号より(2001/08/10)
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